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スタッフブログ 2015年4月アーカイブ

【拡散希望】ネイルサロンのおかしな現実。 後編

ネイルサロンのおかしな現状。 →前編はこちら →中編こちら

 
※沢山のいいね!やメッセージありがとうございますm(__)m
こんな事を綴っていても意味がないかもしれないと思っていましたが、叫び続けようという勇気を頂きました!
ありがとうございます!

 
さて、原材料から叩き出して健全な経営をするには必要な施術料の半値が相場になってしまい、マシーン化した若手ネイリスト達しか居ないネイルサロン。
 
そこで何が起きてしまうでしょうか?
 
そのシワ寄せはお客様に降りかかります。

「定額制」や「やり放題」が当たり前となった頃、当店にいらっしゃる新規のお客様からおかしな言葉を聞くようになりました。

「凄い!お姉さんがオフすると痛くないんですね!オフって痛いものだと思ってました!」

...い、今なんと??
オフが痛いって、どういう事?
 
しかも「痛いのが普通だと思っていた」?!

ご新規様の殆どが「痛くない!」と感動されているのです。

意味が解りませんでした。
他のサロンで何が起きているのか...。

そう、若手がジェルと自爪の境目の区別も付かない程の未熟な目のまま、
無理矢理な時間設定に追われ、
ガツガツと自爪まで削っていたのです。


しかも、限界まで材料費も人件費も削減し提供している施術ですから、材料費に含まれるファイル(爪ヤスリ)も満足に支給されないサロンが多く、目が潰れて削れないファイルで圧をかけて削っているので摩擦熱が発生する事により「痛い」と思うのです。

 
そして、大変失礼ながら...
お客様も我儘放題を言い始めました。
 
やり放題をやっているサロンでは、お客様は少しでも多くのアートやパーツを乗せてもらいたいので「オフは15分で」など無茶振りをするようになったのです。

ゴテゴテと色々乗っていてハードジェルやアクリルでガッチガチに固めてあるネイルを15分でオフなんて無理です。

でも、ここニッポンは「おもてなし」の国。
「お客様は神様」なのです。

お客様にやれと言われたら、やるしかないんです。
盛り盛りガチガチのネイルを15分でオフせよと言われたら、致します。

が、ガッツリ削ります。
ニッパーでゴリゴリ剥がします。
 
その時に自爪の層が無理に剥がしたジェルに引っ付いて剥がれて、
二枚爪になろうが薄くなろうが剥離しようが知ったこっちゃない。

と、なりますよね。

ですが、ちょっと待って下さい。
ソフトジェルは別名ソークオフジェルとも呼ばれます。
ソークオフとは「溶剤で溶ける」という事です。

ソークオフできる筈のジェルがソークオフ出来ないハードでガチガチに固めてあるのって、
おかしいですよね?

当初ジェルは「ツヤが良くて長持ちするポリッシュ」感覚だった筈が、お客様の要求はエスカレートしていき...

「ストーンは取れない様に埋めて」
「パーツを乗せて取れない様にして」
「爪が薄いから厚塗りして」

只でさえ材料費も追いつかない価格設定なのに、そんな事を求められたらソフトジェルより仕入れ値が安く磨耗しにくいハードジェルを盛る他なかったのです。



ですがお客様は「カルジェルです」と言うのです。
プロは溶け具合、削った感触、ダストの出方、等で分かります。

容器だけカルやバイオで、中身は違う物を使っているサロンが横行している事にも愕然としました。
 
でも、それも仕方がなかったのかもしれません。
カルやバイオは他メーカーの倍以上の原価ですが、お客様は「カルやバイオがいい」と理由も解らずブランド信者になっていたのですから。

 


が、何を使用していても痛い思いをさせるようなオフをすれば爪は傷んで当然。
 
お爪が傷んで薄くなれば、持ちも悪くなります。
 
でも「4週間は持ってくれないと」とまた無茶な要求に、
必要以上のサンディング(爪表面を削る事)をして、益々爪は傷んでいく。

正しい施術を行っていれば、
 
「爪が傷んだからジェルはしばらくお休み」
 
なんて事は起きません。


現に、私が10年以上担当させて頂いているお客様は1度もお休みした事のない方が殆どです。
私だけではなく同じ位の歴を持ち、正しい施術をしているネイリストの顧客様は同じです。
きちんとした施術をしていないサロン。
 
知識の乏しいネイリスト。
 
無茶振りをするお客様。
 
その根底は価格崩壊したマーケット...。

 
それでもサロン達は頑張ります。
 
差別化を図り「ウォーターケアでジェル長持ち!」と謳い始めました。
確かにルーススキンをきっちり取れば持ちは良くなるでしょう。

...でも皆さん、ジェルって本当はオンの前にウォーターケアしちゃ駄目なのご存知でした?

爪は皮膚の一部なので水分蒸散しています。
その水分が蒸散されずに爪とジェルの間に溜まると中浮きしたり、リフトした状態で放置しておくと水分が溜まり、そこに運悪くカビ菌が付着し条件が整うと「グリーンネイル」になるのです。

ウォーターケアをした際に爪に含まれた水分が蒸散しようとしてもジェルが邪魔をし、
グリーンネイルになったりリフトしたりします。

でも、カルジェルの様にガス・パーマブル・システムのジェルならギリセーフです。

ガス・パーマブルというのは、ジェルの間を水分が通り抜けれるシステムの事です。
爪の水分蒸散を妨げない為、基本的にはグリーンネイルにはならない原理です。

因みにバイオジェルはこのシステムではありません。
勿論ハードジェルもです。

でも、中から外に逃がしてあげられるという事は、外から中に入ってくる事もあるという事。
水分の行き来が過度になればポロッと取れることもあるので、逆にバイオなどのガス・パーマブルがないジェルの方がもつ方もいらっしゃいます。

カルとバイオの違い、その他数多くのどのジェルの特性を知っていて、
自分の扱っているジェルの特性を理解して施術しているネイリストがどの位いるのでしょうか。



こんなサロンもあります。
カルジェル専門店と謳いながら「ウォーターケアでしっかり甘皮処理!トップは安心のハードジェルコート!」...。。
言ってる事が無茶苦茶です。

ウォーターケアして、ベースからトップまで全てカルジェルを使っているのなら、上記に説明したように水分を蒸散させられるので、まぁアリとしましょう。
でも、ハードジェルで仕上げているのでは意味がなく、挙句に「安心のハードジェル」って、何が安心なのかの根拠も分かりません。
摩耗しにくいから「安心」なのでしょうか?

ソフトジェルがリフトしにくい理由は、アクリルやハードジェルと違い柔軟性がありお爪と共にしなるからです。
ハードジェルで硬めてしまってはその特性さえも奪ってしまいリフトし易くなるのです。
そして、リフトしてしまったらベースがカルでもトップで蓋をしているのいるのでグリーンネイルの危険性も高まります。
 
勿論、中にはハードジェルの方が持ちがいい方もいます。
ソフトジェルではお爪がしなり過ぎるので、ある程度硬さを出す事で持ちが良くなるパターンです。

一言に「ジェル」と言っても、色んなシステム、色んな組み合わせ、そして、お客様の生活習慣や爪質に合わせなければ「◯◯ジェルだから絶対もつ!」とは言えません。

でも、そんな専門知識も引き出しもないまま、就職先で用意されたジェルを何だかよく分からないまま使っているネイリストが殆どだと思います。

 
そして「爪に優しい」はずのジェルが間違った使い方をされ、
今度は「ジェルのし過ぎで爪がボロボロ。そんなあなたに!」というキャッチフレーズで、
様々なネイルケア用品が開発。

こんな広告を謳われては、ジェル未経験者は「あぁ、やっぱりジェルは爪が傷むんだ」となっていきます。

 
そして相反する「ノーサンディングジェル」と「ジェル用プライマー」の登場。
 
爪の表面を削る事なく乗せるノーサンディングジェルですが、今までしっかりサンディングしてジェルを乗せてた方は今迄のようには始めは持ちません。
ボロボロの爪が全て新生爪に生え変わるまで、根気よくサロンに通うサイクルを守らなければ意味がありません。ですが・・・
結局「ノーサンディングジェルで持ちを良くしろ」と無茶振りです。

 
そして、ジェルは「爪に優しい」が大元なのに何故ジェル用プライマーを開発!?
でも...これもお客様の「持ちを良くしてくれ」の声を形に表したメーカーの心意気です。

 
 
この、ネイル業界のハチャメチャさに
 
未来を感じれますか?
 
全てが狂っていませんか?


 
そして、ネイリストになった時から思っていました。
私達ネイリストはお客様に刃物を向けています。
キューティクルニッパー、アクリルニッパー、メタルプッシャー、コーンカッター、など他にも沢山の危険な器具や薬剤を扱い、皮膚(甘皮や角質)を切除しています。

時に医者が使う物と同じ物で処置し、医者ではどうしようもなく爪を剥ぐしか選択肢がない事例をネイリストならカバーしてあげられる事も多々あります。

髪を切っても血は出ないのに美容師は国家資格です。
まつエクは、ネイルよりずっと歴史が浅いにも関わらず美容師免許が必要となりました。


まつ毛エクステは眼球に損傷が出たり瞼が腫れたなど消費者センターに多くの相談があったため国はすぐに動いたのだと思います。
(美容師は眼球の勉強をする訳でもないのに、お国のお偉いさん達が「首から上の理美容に関する」「まつ毛も毛でしょ」的な考えでとりあえず美容師免許にした感が否めませんが。)

ですが、ネイルは指先をちょっと怪我させられたって翌日にはかさぶたになり治癒するので余程でない限り相談に行く人も少ないのだと思います。ですが・・・

なぜ、切れば血が出る皮膚という箇所を切除し、
時に医者と同じ処置を行っているのに、
ネイリストが国家資格ではないのでしょうか?

国家資格にする・しないという事は以前から業界内では話されて来ていますが、
色々大人の事情でずっと実現できていません。

でも、この全てにおいて飽和状態のネイル業界を正す道は、

①お稽古感覚で簡単にネイリストを目指すような志の低い人間は踏み込めない地位にする
(お稽古で美容師やその他の国家資格を目指す人いませんよね?)
②結果、ネイリストの質を向上
③健全な経営のできる施術料を戴いても消費者が納得する知識や技術力を持つ

④健全な経営のできる状態になれば労働条件がまともになる
⑤ネイリストを目指す人間の志も上がり、未経験者の育成もする事が出来る

そうなって、ようやくこの業界の未来は
 
切り開けるのではないでしょうか?
私は、この仕事に誇りを持っています。
ネイルが、いかに女性を癒し、モチベーションを上げ、
気分を良く出来るものか、心底知っています。

女性が働かなければ労働者が足りない今、
 
その働く女性達を癒し勇気付ける事の出来る、
 
縁の下の力持ちの役割を果たす、
 
この仕事が私は大好きです。


そして、ネイリストもまた女性です。
結婚や出産を機にネイリスト人生を諦めた人も数多くいます。
全国で星の数程あるネイルサロンで、産休や育休制度のあるネイルサロンは数える程しかありません。
男性ネイリストもいますが、大手のゼネラルマネージャーにでもならない限り家庭を築く給料はもらえないでしょう。

長い想いのたけを綴ってまいりましたが、まだまだ伝えたい事は山程あります。
声を上げる場所も勇気もなく、悶々と心の底で苛立ちと不安を持ったままのネイリストが全国に沢山居ると思います!
 
勇気を出して、声に出して行きませんか?
 
私達の未来です!

 
 
今迄もそうであったように、
 
これからも私達がネイル業界の道を
 
切り開いて行かなければいけないんです。

長い文章に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

ネイリストでなくても共感して下さった方々、ありがとうございます。是非、この記事を拡散して全国のネイリスト達へ届けてください。

そして、共感して下さったネイリストの方々、是非ご連絡下さい。
メッセージ、コメントなど、ご連絡お待ちしております。


【拡散希望】ネイルサロンのおかしな現実。 中編

ネイルサロンのおかしな現実。→前編はこちら
 
その後、私は指名No.1ネイリストになりました。
ですが私の思うネイリストとしての仕事が出来ない現状に嫌気がさし始めたのもあり、
他にも様々な理由もあり、ネイリスト自体を辞めるつもりで退社しました。
 
ですが、有難い事に顧客様達にお願いされ、何十人もいらっしゃる訳でなし、
気の知れたお客様だけだし...と思い、
この時点で殆どの機械類は持っていたのでお小遣い稼ぎ程度のつもりで自宅で始めました。
 
・忙しない雰囲気漂うサロン
・ご予約時に聞いてないメニュー(折れた爪のリペアなど)はお断りせざるを得ない時間配分
・10分遅刻でキャンセル扱いせざるを得ない時間配分
 
に、嫌気がさしていた私は、少し余裕のあるご予約の取り方にし、
ラメグラやカラーだけではなくアートも楽しんで頂きたくて
当時はまだシールなんて無かったので絵具でペイントをしたり、
サロンでは出来なかった事をするようになりました。

有難い事に口コミでどんどん広がり、
お小遣い稼ぎではない額を稼ぐようになってしまい、きちんと登記をしました。

そして「ネイル=アクリル」の時代は終わり、「ネイル=ジェル」の時代になりました。

どんどんジェルメーカーが出来て、老舗メーカーもジェルの開発をし、
絵具でなくてもジェルでペイントが出来るほど発色がよく滲まないジェルや
ジェル用のアート筆も出てきました。
 
メーカー内での価格競争もあり安い物も出てきましたし、
お手軽なアートシールも出てきました。
 
 
材料費が安くなり、アートもシールを貼れば一瞬で可愛く出来るとなれば
「もっと安くして、可愛いネイルが出来ると謳い集客しよう」と価格競争が
もっともっと激しくなっていきました。

世のネイリスト達は、もっともっとジェルマシーン化して行きました。

 
そして「アート込み定額制」の登場です。
 
しかし、それでは満足できないお客様が増え、「やり放題」の登場です。

定額制もやり放題も、価格競争でどんどん安くなりました。

 
そして、今は少し下火になりましたが一時流行ったフラッシュマーケティング。
ポ◯パレさんやグルー◯ンさんなどの、共同購入型格安チケットです。
 
ネイルは、表参道や銀座でさえ1500円とかで「90%オフ!」とか謳わされました。
完全報酬型なのでリスクは少ないが1500円の内半分以上持って行かれては、
材料費にもなりません。
 
当然ながら1500円で来た人が次にその何倍も払ってリピートする訳ありません。
また違うサロンのチケットを買えば済む話なのですから。

 
 
さて、ジェルの登場でネイルは認知されるようになり、
上記のような事から金銭的にもとても身近な物になりました。
 
これ自体は素晴らしい事だと思います。

ですが...
 
 
無理にご予約を押し込む時間の設定で、
時間に差し迫られ満足にカウンセリングも出来ず、
シールやパーツの既製品を乗せるだけ。

そこにネイリストの心はあるのでしょうか?

今や最安値と思われる大手さんは、お客様自身が自分のカルテをパソコンに入力し、
パソコン上で色やアートを決め、お客様がオフの席へ移動、その後ジェルオンの席へ移動、
もし色やアート変更を頼むと別途料金がかかる。

最大限ムダを省き、最大限ネイリストをマシーンとして扱う。

 
「ネイリストじゃなきゃ出来ない」は、一体どこへ...?

 
現在、いくつのネイルサロンを巡ったら、
「うちはエアブラシも、3Dも、ペイントも、スカルプも、何でも出来ますよ!お客様のイメージを形にしますよ!お悩みやお望みを聞きますよ!」
という、一昔前ならどこでもそうであったサロンに巡り合えるだろう?


なかなか需要がなくなった技術はともあれ、
 
「お客様のイメージを形にしますよ!お悩みやお望みを聞きますよ!」を叶える事は、
 
美容家でありアーティストでもあるネイリストは出来なければならないと思うのです。

勿論、ジェルマシーン化したネイリストに淡々とジェルを乗せてもらい
早くて安いネイルサロンが一定のニーズがあるのは事実で、
そういうコンセプトを否定はしません。
 
ただ、殆どがそういうネイルサロンになっている、そういうネイリストばかり。

そもそもネイリスト自身が「ネイリストとはそういうもの」と思って切磋琢磨する人が少ない...
というのが問題だと思うのです。


しかし、そういうネイリストばかり生まれているのにも理由もあります。
 
これは私の勝手な見解ですが、
ネイリストになろうとする人間のそもそもの志が低い。
私なんて業界を牽引されてきた大先生方に比べたらピラミッドの底辺レベルですが、
少なくとも10年以上の歴があるネイリスト達は、先生方を筆頭にまだ開かれてない道を
自分達で開拓していかなければならなかった。
 
だから、本当にネイルが好きじゃなきゃ選ばないし続かない仕事だったと思う。
 
 
 
でも、今の子達は私達が引いてきたレールに乗るか乗らないか。
 
それだけ。

なんとなく、華やか。
なんとなく、楽しそう。
なんとなく、勉強しなくても出来そう。
なんとなく、技術職で手に職って素敵。
なんとなく、自分にも出来そう...。
そう思わせてしまうのには、ネイルサロン以外の場所でも飽和状態が起きているのです。

そう、ネイルスクールです。

(勿論きちんとしたスクールもあります)

ネイルは美容院やエステの様に「これで◯分置きますね」と席を立ち、
他のお客様を施術する事はできないので、原材料費も高い上に人件費もかかります。
でも価格崩壊している現状では、1人のネイリストが1時間かけて作れる売上はほんの僅かです。

でも、スクールなら1人の講師で10人以上見る事が出来るのです。
1時間の授業で、仮に5千円と設定しても生徒が10人いれば5万円です。
サロンで1人のネイリストが1時間で5万の売上を作ることは不可能です。

ネイルサロンで数千円の戦いをするより「なんとなくネイリストに憧れている人」を
取り込んだ方が儲かるんです。

だから、スクールやカルチャーセンターは生徒獲得の為に甘いキャッチフレーズを付けるんです。
「卒業後は自宅開業も夢じゃない!」
「開業支援あり!」
「経営ノウハウも教えます!」
 
数時間や数日間の講習を受けただけで貰える「◯◯マスター」とか「◯◯マスター講師」、
中には「◯◯認定講師」とかっていう、なんとなく響きが格好良くて凄い技術を持ってそうな
名前のディプロマを与えられて、
その気になっちゃう自称ネイリストが増加。

 
でも、考えてみてください。

 
私達が10年20年かけて、
死ぬほど働いて練習して勉強して研究して、
スクールにセミナーに大会に道具に材料に何百万も費やし、
様々な物を犠牲にして得てきた技術を、
 
たった数時間や数日間で、
マスター出来る訳がないじゃないですか。

 
技術も知識も経験もない、基本を知っただけの人に
経営ノウハウ教えたからって、
自宅開業して上手く回る訳が無いじゃないですか。
 
 
なのに、なんでスクールは解ってるはずなのに、そんな嘘に近いキャッチフレーズを付けるのか。
儲かるからなんです。
悲しいです。
 
 
 
でも、スクールじゃないと儲からない現実を作ったのは
ネイルサロンでは首が回らない価格競争の故に起きていると思います。
 
価格競争ゆえに人件費を削減されるのでベテランは
「こんな安い給料で今更ジェルマシーンなんかやってらんないわ」と、
時給の良いスクール講師になり現場を離れて行きます。
 
(正直なところ私自身もそうでしたし、私が施術して満足してもらうお客様を増やすより、
まともなネイリストを輩出する方が業界の未来に繋がるんではないかという気持ちもありました。)

 
そして、ベテランが現場から離れ、
お客様に実際に技術を提供するネイリストが若手ばかりで、
まともな施術ができないので、
消費者は「ネイルサロンでお金払ってやって貰ってもこんなもんか」と思い、
よりネイルが軽視されるのです。
 

 
さて、甘いキャッチフレーズに躍らされて入学し勘違いしなかった人は気付きます。
「卒業しただけで開業なんか出来るわけないじゃん」と。
 
 
 
そして、サロン就職をしようと卒業しても...
 
そうです。
待っているのは、あのネイルサロン事情です。
直ぐに入客できない新人なんて、どこも欲しがらないのです。
即戦力が欲しいので、未経験者の就職口がほとんどないのです。

 
なんとか就職に辿り着いても、
 
・目まぐるしいサロンの現実、
・施術以外の雑務の多さ、
・思った以上に体力勝負の仕事、
・就職してからも勉強や資格の為にかさむ費用、
・仕事しながら勉強や練習に励まなければいけない毎日にヘトヘト、
・腰痛や腱鞘炎などの職業病、
・手に職なんだからお給料は良いはずと思っていたのに、こんな実情でコンビニバイトより低い時給
 
に、「なんとなく」でネイリストを目指した子は辞めていくのです。

 
スクールが入学へのハードルを下げた結果、志の高い人が居ないのです。
 
給料が安くても、
仕事量が多くても、
勉強する事が山積みで毎日ヘトヘトで、
まだまだお金もかかるし、
腰も腕も痛いけど、
 
それでも私は絶対に一人前のネイリストになってやる!!!
 
と、いう人はスクール生100人中、何人いるでしょう...。
 

考えてみてください。
 
美容師だろうが、ヘアメイクだろうが、
寿司職人だろうが、シェフだろうが、パティシエだろうが、
大工だろうが、医者だろうが、弁護士だろうが、
職人・専門職と呼ばれる人達が皆どれだけの修行を積んで一人前になっているのか、
だいたい想像つく筈です。

3年で大体の事が見えてきて、
7年で大概の事に瞬時に対応が出来てきて、
10年越えたからこそ「まだまだ勉強不足だ」と思う事に直面し始める。
 
 
なのに、なんでネイリストだけ「簡単になれる」と思われてしまうのか。

 
答えは簡単。

スクールが、すぐにネイリストになれるかのようなキャッチフレーズで生徒を募集するからです。


さて、とあるアンケート調査です。
1回にかける美容サロンの「妥当と思う金額」の平均額です。
 
エステ 1万円~2万円。
美容院 8千円~1万2千円。
リラクゼーション 6千円~8千円。
まつ毛エクステ 5千円~6千円。

ネイルは...

 
なんと...!

 
3千円~4千円...!!
 
しかも、平均額はこれでしたが、
「2千円」と答えている人が一番パーセンテージを占めていたのです。
 
 
に、に せ ん え ん 。 。 。て...。。

 
上記に挙げた他美容業種の原材料費に比べ、ネイルの原材料費は10倍近いんですよ。
なのに、消費者がネイルの妥当だと思う金額は他美容業種の1/10~1/5程度なんです。
ネイル業界が、「ネイル技術」を「安売りしまくった」結果が起こした現実です。
 
 
 
思えば、一番最初に就職したサロンのオーナーは常に言っていました。
 
「技術を安売りしたくない」
 
でも、今はこのサロンもクーポンを出し、価格帯を下げています。
 
本来なら正しい筈の信念を貫こうとすれば、
今の飽和状態にあるネイル業界では生き残っていけないのです。

 
本来なら原材料費から弾き出すと8千~1万円程度は頂かないと
健全な経営とは言えない施術内容が4~5千円、
またはそれ以下の値段が「ネイルの相場」になり、
お客様も消費者としての経験値が上がり目も厳しくなり、
只でさえ金額に見合わない状態なのに今以上の何かを求められるようになってきている。

 
お客様が悪いのではありません。
 
クーポンを乱発させたフリーペーパーやポータルサイト、
それに乗った大手、
それに巻き込まれて価格を下げて行かざるを得なかったサロン達。
 
 
大手は社長がネイリストじゃない事が多い。
だから爪や材料の事なんて知らないし、売上げてくれて会社が黒字になればいい。

社長がネイリストの中小サロンは自分が技術屋だから爪に悪い事はしたくない、
材料の正しくない使い方をしたくない、
お客様の笑顔が見たい、
喜んでもらいたい...。
 
でも、生き残るには値下げをせざるを得なかった。

でも、また更に大手が値を下げて拡大していく。

フラッシュマーケティング全盛期は、大手は新人の練習台として使い更に安いクーポンを乱発、
中小サロンは「0よりマシでしょ」と営業マンに上から言われ、
やらざるを得ない所まで追い込まれていたのです。
(現在はさすがに大手も1500円では痛手が大きすぎたのか、その額で出している所は見かけなくなりましたが)

でも、結局のところ、大手も中小も関係なく、自分達で相場を落とし続けた自分達が悪いのです。

 
①価格競争でサロンでは首が回らない価格にまで下げてしまった。
②売上取れるスクールに力を入れる。
③ベテランは馬鹿らしくなり、現場から離れ講師になる。
④現場には若手しかいない。しかも向上心がない。
⑤向上心のない若手の技術で、今更下りに下がった施術料を値上げする事は難しい。
⑥人件費の安い若手を使うしかない。

 
価格競争をしまくって首絞め合戦の後、消費者もサロンもスクールも含め、業界全体を巻き込む、もうどうにも止まらない負のループが出来上がって行ったのです...。


【拡散希望】ネイルサロンのおかしな現実。前編

こんばんは、オーナーネイリストの後藤です。

ちょっと、今日は真面目なお話をしたいなぁ...と思います。
私の歩んできた15年のネイリスト人生、その中で変化していった「ネイル」というもの。

今、(私の勝手な意見や見解ですが) 正直に思うネイル業界のおかしな現実・・・
長くなると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。

※この話は東京での事ですので、違う地域の方には当てはまらないかもしれません。
しかし、流行は首都である東京から発信され地方都市に一般的に広がるには5~6年先と言われています。
今、東京で起きている事がいずれ全国に広がるかは分かりませんし、もしかしたら東京を反面教師にこの現実は回避されるかもしれませんし、経済状況も変わっているかもしれません。
でも、同じ事がいずれ全国のネイル業界に広がる可能性は否定しきれません。

私は18歳でネイルの世界に入りました。
まだネイリストという言葉さえ世に認知されていない時代で、
ネイルサロンは都内でさえ数えるほどしかありませんでした。
 
私は、高校を日本の私立高校に籍も置いたまま留学させてもらいました。
実質は通ってもいない私立高校に学費を払いながらの留学だったので、高校だけでとんでもない学費をかけてもらいました。
 
医療系一家の私は、医者や看護士を志しませんでしたが、
イギリスの大学にメディカルハーブの勉強をしに行く予定でした。
夢は「日本にメディカルハーブを持ち帰り、医療施設を作りたい」でした。
 
ですが、イギリスは9月が新年度のため日本にいる間に少しでも知識を深める為
アロマスクールに通っていた先でネイルに出会い、そちらの道に進んでしまいました。

当時、父には「人様の爪をいじって金をもらうなんざ、そこら辺の靴磨きとなんら変わらん!そんな事をさせる為にお前を留学までさせたんじゃない!」と理解されませんでした。
唯一、母が味方についてくれネイルスクールに通う事が出来、ネイリストとして就職しました。
実家に帰る度「お前、本当は大学に行きたいだろう?今なら学費を出してやるから大学に行け」と言われて続けました。

当時はまだジェルはなくポリッシュかアクリルスカルプかの時代で、
私の就職したサロンはアクリルスカルプがメインでした。
 
アクリルはアレルギーが出やすく、
お客様は数週間に1度のご来店なのでアレルギーのでる方はほぼいらっしゃいませんが、
毎日扱うネイリストは10人に1~2人位のアレルギー発症率で、私もアレルギーを発症しました。

が、皮膚科に行ってもネイリストという言葉さえ浸透していない時代ですから、
医者も何なのか分からないのでステロイド剤を渡されるだけで、

「今の仕事を辞めるか、3年位で抗体がつくまで我慢するかしかないね」

と何処に行っても言われました。

 
アクリルは、液体のモノマーと粉状のポリマーを重合させ
ミクスチュアを作り固まりきる前に爪の形成をします。
 
o0480036013279969326.jpg
左:モノマー、右:ポリマー↑

o0480045113279969342.jpg
モノマーとポリマーを重合させ、まだ固まっていない状態のミクスチュア↑

 
通常のアレルギー症状はモノマーに反応するので筆を持つ手や指に症状が出ます。

が、私の場合は珍しいパターンで、モノマーやポリマー単体なら平気だが、
ミクスチュア、要は重合物に反応していたので、
形成時やリフィルやオフの時に削り出た空中を舞うダストに反応する為、
皮膚が出ている箇所全てにアレルギーが出てしまいました。

 
当時流行っていたチビTにローライズパンツなんて着て行った日には腰回りも赤く痒くなり、
特に皮膚の薄い顔の両頬は常にグチュグチュになり汁が出て、
マスクをして隠さないとお客様の前に出れるような状態ではなく、
お化粧もファンデーションなんて論外な状態でした。

 
薬を塗るとダストが付着するので薬も塗れず、
施術が終わる度に頬を洗いまたマスクで隠していました。
 
しかし、常にマスクをしていてもダストは吸い込んでしまうので、
結果的にアレルギー喘息にもなりました。
そして、労働条件も月15~16万で毎日12~13時間働き、
休憩は何か口に入れる時間が取れたらラッキー程度が当たり前、
福利厚生は一切ナシ、
終電まで練習や雑務、
休日出勤も当たり前でした。

自分が好きで選んだ仕事だったので、
理不尽な事があっても、
これが後に自分の血肉となり経験値となり自分の為になる事なので
何とも思いませんでしたし、普通だと思っていました。

これは、私がいたサロンが特別おかしな訳ではなく当時は殆どのサロンがこうでした。
 

 
またもや、父には「そんな労働条件で、自分の身体を壊してまでやるような仕事じゃない!辞めろ!」と幾度と言われました。
 
「父に認められたい」そんな思いがあった訳ではないですが、自分が選んだ道を貫きたかった事と、やはりネイルが好きだったんです。
お客様と一緒にアートを作り上げたり、
 
コンプレックスだった爪を美しくケアして喜んで貰えたり、
 
純粋にお客様に喜んで貰えるこの仕事が楽しくて嬉しかった。


大会に出て成績を残し、
雑誌に毎月何本も出して頂き、
芸能人も沢山担当させて頂き、
ですがサロンの給与だけでは食べていけずお休みの日は他のバイトも掛け持ち、
同級生が大学で遊んでいるのを横目に私は遊びも恋愛もする暇も無ければ、
それを羨ましいと思う暇さえ無い程がむしゃらに働き続け3~4年程経った頃、
父には何も言われなくなりました。
 
ようやく認められた気がして、嬉しかったのを覚えています。
 
その頃にはアレルギー症状も和らぎ始めていました。

 
しかし、元々はメディカルハーブ「天然材料で治療する」という志を持っていた私は、
自分のしている仕事に矛盾を感じ幾度となく葛藤していました。

 
そんな頃「お爪に優しい」をキャッチフレーズにカルジェルが日本に上陸しました。

o0480043013279969369.jpg

 

当時、流行りはロングのアクリルスカルプにゴテゴテ盛り盛りの派手ネイル。
(ハードジェルはこの頃には既にありましたが、溶けない性質ゆえに操作性も悪く流行ることはありませんでした。)

今のようにジェルアートが研究されていなかった当時はワンカラーかフレンチのみ。
ラメラインさえありません。
長さも基本は自爪、見た目はポリッシュを塗ったのとほぼ変わらない。

色もバリエーションは少なく、日本人が好むような色もない。
 
ジェル自体もまだ未発展で、発色も悪く、UVライトの紫外線で黄ばみ、
お仕上がり時点で白フレンチなんてラインはぼやけてるし既に黄ばんでる。

そんな物なのに施術料はワンカラーで1万円位でした。
 
「お爪を傷めない」のは素敵だが、正直、市場の現状から流行る訳がないと思いました。

 
しかし、
アクリルの施術で爪を削られ、
プライマーの酸で爪の表面を溶かされ、
毎日触れていれば上記に挙げたようなアレルギー性の強い物質を乗せ、
自爪はボロボロ...
そろそろ華美なネイルにも飽きてきた。
 
 
そんな一定数のお客様からのニーズから、
「爪に優しい」「自爪のような違和感のない装着感」が
キャッチフレーズのカルジェルは徐々に広がり始めました。
 
 
 
そして、ジェルはほぼ無臭。
 
それまでポリッシュとアクリルの強いシンナーのような臭いの原因で、
百貨店は勿論、雑居ビルなどでも断わられる事が多く、
出店したくても物件が見つからない現状が打破され、
一気にサロンが目につく場所に増え、
ネイルというものが認知されるようになりました。

認知される事により需要が増え、
ワンカラー1万円から単価も下がり、
次にバイオジェルも出てきて、
それまでネイルは富裕層の方で爪ごときに月2~3万近く払える金銭的にも余裕があり、
3時間程かかる施術ですから時間的にも余裕のある方のみ通える場所でしたが、
普通のOLさんでもちょっと頑張れば通える金額で、
時間もアクリル程かからないので仕事帰りに立ち寄れるような場所へと変わっていきました。

それに伴い、私達ネイリストは新しいマティリアルであるソフトジェルを研究する日々が続きました。

そして、ある程度ジェルの使い方や特性が確立された頃、
ついに大手美容会社がこぞってネイルサロンを作り始め、価格競争が始まりました。

同じ頃、今や当たり前のクーポン雑誌のフリーペーパーが出始めました。
そして1人暮しの人でもパソコンを持つのが当たり前になり始め、
ネットでのクーポンサイトやポータルサイトも出てきました。

ますます価格競争に拍車がかかり始めました。

 
その頃、私は違うサロンに移っていました。
当時としては度肝を抜く安さ(今では普通、もしくは高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが) ラメグラ3980円、ワンカラー4980円、オフ代2000円で打ち出しているサロンです。
 
ジェル自体の使い方等は確立されていても、
今のようなジェルアートはまだ確立されておらず、シールなどもない時代。
 
お客様もアートを望む方はほぼ皆無なのでラメグラかワンカラーが主で、
オフ・オンで1時間(ご案内からお見送り入れてなので施術時間は40分程度)、
当時としては度肝を抜く安さとスピードですから、
ご予約は1ヶ月以上先まで埋まりご予約が取れない事がクレームになる状態で、
1日12人とか施術していました。
 
お客様のお名前も、お顔も、何色を塗って、どんな話をしたかなんて覚えている訳ありません。

私は歴があったのでおしゃべりをしながらでも施術ができる余裕がありましたが、
他スタッフ達はスクール卒業してすぐに現場に出されて只々黙々とご予約をこなす他なく、
私達は自らを「ジェルマシーン」と呼んでいました。
価格競争が始まり、このようなネイルサロンが増え、
サロンから「ホスピタリティー」が無くなり只の「爪にジェルを乗せてくれる場所」となりました。

カウンセリングなんてじっくりしていられません。
お客様の悩みや相談なんて聞いてる暇はないのです。
ましてや、世間話なんてしてる暇はありません。

正味40分で終了させないければならない、そんなサロンワークではジェルをいかに早くオフしていかに早くオンするか以外の事を学ぶ暇なんてないのです。

お客様の肌色パターンに合う色の提案、
お好みを把握してのご提案、
お爪の状態を見てアドバイス...
 
そんな事が出来るようになる事よりも、
只々目の前のご予約をこなす為のスピードアップしか考える暇がないのです。
 
クレーム対応や接客態度なんて、二の次、三の次。
会社は回転率を上げて売上を叩かせることしか命じません。


 
しかし、お客様も敷居の高かったネイルサロンにこの値段で通えるのだからと、
ネイリストにカウンセリング力やホスピタリティーなんて求めていなかったのです。

ネイリストの質が、ネイルサロンの質が、下がり始める予兆でした...。
~続く~


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